生命保険によって万が一の際の「安心」を得られますが、その安心を買っているはずの保険で、お金を失っている場合もあります。
自分にとって本当に必要か、そういった視点で見直しにチャレンジしてみましょう。
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生命保険加入の状況
まず日本における生命保険の加入状況について統計データ(「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」 (公財)生命保険文化センター)をみてみましょう。
主だった指標は次のとおりです。
統計データ
- 生命保険の世帯加入率→88.7%
- 若年層(29歳以下)の世帯加入率→72.2%
- 年間払込保険料→平均38.2万円
あと私なんかからすると、年間38万円も払っているのは高いって感じます
上記データからひと月あたり生命保険の掛け金が約3.2万円であることがわかります。1年では38万円、10年では380万円。
このひと月3.2万円という金額が高いのか、安いのか。
答えは人によって異なるでしょう。保険のプラン(掛け捨てor貯蓄型)や保証内容も異なるでしょうし一概には言えません。
ここで重要なのは、自分にとって必要な保障に対するコストになっているかということです。
生命保険に加入するキッカケ
日本では生命保険の加入率が非常に高いことがわかりました。
ではそもそも、生命保険に加入するに至ったきっかけは何なのか。その情報入手先について再度統計データをお借りして見ていきましょう。(複数回答あり)
情報入手経路 | 割合 |
生命保険会社の営業 | 46.5% |
保険代理店 | 15.8% |
友人・知人 | 10.3% |
家族・親戚 | 9.9% |
商品カタログ・パンフレット | 8.4% |
ファイナンシャルプランナーなど | 6.4% |
職場の同僚・上司 | 2.7% |
その他 | 32.9% |
生命保険会社や代理店の営業さんに勧められてというのが一番多いケースですね。このケースでは受け身から始まっていますから、どこまで自分で納得して加入しているか未知数な部分があります。
営業マンから「皆さんこれくらいの保険に加入されている人が多いですよ」と言われると、横並びが好きな国民性ですから必要性や内容の理解はさておき加入するケースが多いです。
そしてより問題なのは友人知人、家族親戚、職場の同僚や上司による勧めです。これらの合計だけで22.9%もあります。
身近な人の勧めだけに、やはり必要性や内容よりも”勧められるがまま”に加入…というケースが決して少なくないでしょう。
以上のデータからも、保険の必要性や保障内容を吟味し自発的に加入しているケースよりも「何となく勧められるまま加入」というケースが多いのが実情です
だからこそ、見直しを行う価値があるのです。
生命保険見直しのポイント
ではここから生命保険を見直すための3つのポイントを解説します。
- 保障を受ける目的で考える
- 保障を受ける確率で考える
- 実は既に保険に入っている
①保障を受ける目的で考える
そもそも、生命保険は自分が死んだときに困る相手にお金を残すためのものです。
まだ小さい子どもがを残して先立つのは、残された家族を思うと不憫です。このような場合こそ生命保険の出番でしょう。
では…
- 結婚しているけど子どもが成長しきっている
- 結婚しているけど子どもがいない
- そもそも独身
これらのケースでは誰にお金を残す必要があるでしょうか。
このように生命保険の必要性を判断する場合、誰に対してお金を残してあげる必要があるかという視点でまず考えてみましょう。
そうすると、特に独身の場合はほとんどのケースでお金を残す必要がないことがわかります。
ポイント
生命保険は誰にどういった目的でお金を残す必要があるかで判断する。保険金の主な活用目的である教育費のない独身はそもそも不要
②保障を受ける確率で考える
生命保険は万が一のためのものです。
この万が一とは例えば以下のような事象により収入が長期間に渡り失われることを指します。
ではこれら”万が一”って具体的にはどのくらいの確率で起こるのでしょうか。ここを考えずに高額な掛け金を払い続けるのはコストが高くついている可能性があります。
以下のグラフは厚生労働省が5年ごとに取りまとめている「完全生命表」というもので、簡単にいえば10万人の人が、何歳でどれくらい生存しているかを示したものです。
第22回完全生命表
このグラフを見て分かる通り、50歳くらいまではほぼほぼ生存しています。数値でみると97%の生存率です。
つまりざっくりいうとほとんどの日本人男性は50歳までには死なないのです。
まず”万が一”の正体は上記のように理解しておきましょう。
とはいえその”万が一”は誰の元にも訪れる可能性はありますから、低い確率とはいえ生命保険が不要というわけではありません。
重要なのは、”安心を買う”(多くのケースで保障を実際に受けない)という目的に対し、どの程度の掛金を掛けるのかということです。
ポイント
50歳まではほとんどの人は保障を受けることがなく、安心を買っている形になっている。高額な掛金は多くの場合不要
③実は既に保険に入っている
これまで民間の生命保険について考えてきましたが、実はほとんどの人がすでにある保険に入っています。その保険とは「社会保険」のことです。
社会保険には
としての役割がそれぞれあり、さらに国民年金の中には「遺族年金」というものがあります。
遺族年金とは死亡した夫の遺族(子どものいる配偶者、または子ども)に支給される年金で、年額78万円ほど支払われます(子どもが多いとさらに加算あり)
また、遺族年金以外にも勤めていた会社によっては死亡退職金や見舞金制度などがある場合があり、生命保険に加入していなくともある程度まとまったお金を受け取ることができる場合があります。
このあたりは、実際会社にどのような制度や仕組みがあるか、日頃から夫婦で話し合っておくことが大切です。
ポイント
生命保険に加入せずとも、ある程度まとまったお金を受け取れる可能性がある
まとめ
生命保険はリスクへの備えにはなりますが、中にはそもそも不要な人、そこまで高額な掛金は不要な人がいます。また遺族年金など公的な制度によりある程度のお金を受け取れる場合もあります。
上記を踏まえリスクとコストの分岐点をできるだけ正確に判断し、なるべく掛け金を減らせるよう見直してみましょう。
生命保険は固定費に占める割合も大きいため、見直し効果は大きいといえるでしょう。
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