「借金」と聞くと、ネガティブなイメージが頭に浮かんでしまうという方も多いのではないでしょうか?
しかし、借金は悪い面だけではありません。金融機関からお金を借りて、手持ちの現金よりも高額なマイホームや車を購入したり、起業や資産運用で利益を得るなど、借金の上手な活用方法もあります。
そこで今回は…
「良い借金」と「悪い借金」の特徴について解説するとともに、ローンを組んで不動産投資をするメリットについてもご紹介します。
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借金の中には「良い借金」もある
借金というと「悪いもの」というイメージが先行しやすいのですが、住宅ローンやマイカーローンなど、今の収入や手持ちの現金では購入が難しい高額商品を購入する際、多くの人がローン(借金)を活用しています。収支の範囲内で計画的に借金をするのであれば、一概に借金が悪いものとはとらえられず、生活を豊かにしてくれる「良い借金」だといえます。
一方、中には「悪い借金」もあります。例えば、無計画にショッピングローンを利用してしまい、毎月の返済が困難になるような事態を招くのは「悪い借金」といえるでしょう。
★ポイント★
生活の収支バランスや年収、今後のライフプランなどを考慮して、その借金が自分にとって「良い借金」なのか「悪い借金」なのかを見極めることが大切です。
良い借金と悪い借金はどこが違う?
ここからは、「良い借金」と「悪い借金」の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
良い借金とは「返済可能な範囲」で「レバレッジを効かせられる」借金
良い借金とは自分の収入で無理なく返済できる範囲での借金のことです。
生活に悪影響を与えずに、返済できる範囲でお金を借りて、借り入れた利率よりも高い利率で手元のお金を資産運用に回すことができるのであれば、良い借金といえるでしょう。
ただし、あくまで「返済可能な範囲」での借金でなければ、逆に「悪い借金」になってしまうため、無理なく返済できる金額を借り入れることが大切です。
悪い借金とは「生活に支障が出る」借金
悪い借金とは、ひと言でいえば生活に悪影響を及ぼす借金のことです。
例えば…
毎月、借金返済のために食費を削る必要があるといった状況では、仕事や健康面にも影響が出てしまい、いずれは借金の返済も困難になってしまうリスクが考えられます。
そのため、生活に大きな支障がなく、無理なく毎月の返済ができる範囲の借入金額に抑えておくことが大切です。毎月の返済額や利息などの返済計画は借り入れ前にシミュレーションができるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
投資を行うために良い借金をするポイントとは?
ここからは、資産形成のために「良い借金」で投資を行うためのポイントを解説します。
毎月の返済額をシミュレーションする
一般的なマイカーローンなど投資目的ではないローンを活用する場合でも、資金(商品購入額)を金融機関などから借り入れる際に、返済計画をシミュレーションしたことがある方は多いでしょう。
投資資金を借り入れる場合でも同様で、例えば、不動産投資ローンの月々の返済が生活の負担にならないよう、金利や借入額、返済回数をもとに毎月の返済額をシミュレーションします。
次のようなケースを想定して、毎月の返済額を考えてみましょう。
◆借入条件◆
●借入金額:3,000万円
●金利:年2.5%
●返済方法:元利均等返済(毎月の返済額が一定)の場合
返済期間例 | 20年 | 25年 | 30年 |
毎月の返済額 | 約158,971円 | 約134,585円 | 約118,536円 |
年間の返済額 | 約1,907,652円 | 約1,615,020円 | 約1,422,432円 |
支払総額 | 約38,153,008円 | 約40,375,498円 | 約42,673,052 円 |
参考:日本政策金融公庫の事業資金用返済シミュレーションで算出
こうしたシミュレーションを活用し、毎月の返済額が自身の返済能力を超えているようであれば、自己資金を準備して頭金を増やす(借入額を減らす)、返済期間を長くするといった調整も必要となるでしょう。
★注意★
借入額がそのままで毎月の返済額を減らすと返済期間が長くなり、その分の支払利息はふくらみます。金利によっても返済額は変動しますので、シミュレーションはあくまで目安と考える必要があります。
※ここでは計算をシンプルにするため、不動産投資の場合に生じる固定資産税などの税金、各種控除、諸経費は考慮していません。詳細は不動産会社など専門家へ相談するのがおすすめです。
利益を考慮しながら黒字で運用できるか確認する
投資でローンを利用する際は、当然ながら「黒字で運用できるか」を考慮する必要があります。不動産投資は「物件購入さえすれば、確実に毎月安定した収入が見込める」というわけではありません。
例えば…
入居率が悪くて頻繁に空室が発生するような物件を選んでしまうと、安定した家賃収入が得られなくなり、物件を維持・管理するためのコストだけがかかり続ける赤字経営となってしまいます。
利益が見込める物件を購入するには、収益性が悪くなるリスク要因がないか事前に確認する必要があります。
■関連記事:不動産投資の8つのリスクと回避のための対策について【徹底解説】
維持管理費など長期スパンで必要なコストを把握する
不動産投資では初期の物件購入費のほかに、ランニングコストが発生します。そのため、ローンの返済額だけでなく、どの程度ランニングコストがかかるのかも、しっかり把握しておく必要があるでしょう。
不動産投資でかかるランニングコストには以下のようなものがあります。
・管理委託費(管理会社に管理を委託する場合)
・修繕費(修繕積立金)
・火災保険や地震保険などの損害保険料
・固定資産税・都市計画税 など
このように、不動産投資ではローンの返済額以外にも、維持・管理費用、税金などのコストが定期的に発生します。短期的な視点だけではなく、長期的にかかるコストも把握しておくのがポイントです。ランニングコストの中には経費計上できるものもあり、確定申告をすることで節税効果が期待できる場合があるので、正しく活用しましょう。
■関連記事:不動産投資でかかる経費とは?どこまで経費にできるかも解説
長期ローンのときは金利変動にも注意が必要
不動産投資ローンを利用する際は、金融機関などが融資の際に設定している金利タイプにも注意が必要です。特に長期ローンで変動金利になっている際は、金利上昇リスクを考えておく必要があります。
金利タイプには大きくわけて「変動金利」と「固定金利」の2つがあります。
●変動金利とは
変動金利は、景気など経済動向により金利が上下するタイプで、利率は半年や数年ごとなど定期的に見直されます。融資時には低金利だったとしても、設定金利が上がれば返済額が増加します。
●固定金利とは
固定金利は、返済期間中の金利が変わらないタイプです。利率が固定されることで返済計画が立てやすいことがメリットですが、変動金利よりも高い利率に設定されている傾向です。
このように、変動金利は返済期間のうちに金利が上昇する可能性もあるため、その点はリスクとして覚えておきましょう。
悪い借金になりやすい3つの特徴
ここからは、「悪い借金」になりやすい3つの特徴について見ていきましょう。
高金利な借金を利用する
悪い借金の1つ目は、無理の生じるような「高金利の借金」をすることです。金利が高いということはそれだけ返済額が高額になりやすいため、余剰資金がない状態で借金してしまうと生活に悪影響を与える悪い借金になりやすいでしょう。
例えば…
次の条件で新築マンションを購入するとします。
●借入金額:3,000万円
●返済期間:30年
●返済方法:元利均等返済(毎月の返済額が一定)の場合
次に「固定金利」が1%、3%、5%の場合で、それぞれの総返済額をシミュレーションしてみましょう。
| 固定金利1% | 固定金利3% | 固定金利5% |
毎月の返済額 | 約9.6万円 | 約12.7万円 | 約16万円 |
年間返済額 | 約116万円 | 約152万円 | 約193万円 |
総返済額 | 約3,474万円 | 約4,553万円 | 約5,798万円 |
参考:日本政策金融公庫の事業資金用返済シミュレーションで算出
総返済額を比較すると、金利1%と3%で約1,079万円、金利1%と5%では約2,324万円の差になりました。
このように、同じ金額を借りたとしても、金利が数%違うだけで返済金額に大きな差が生じることが分かります。融資の際には、返済に無理の生じない金利かどうかも確認しておきたいポイントです。
返済のために生活や趣味のお金を削らなければならない
毎月の返済のために、生活費を切り詰めたり趣味のお金を削ったりする必要があるような借金は、悪い借金といえます。ローン返済が家計を圧迫してしまう状況が続くと、貯金をする余裕もなくなり、病気など急な出費が必要になったときに対応できません。また、趣味など暮らしの中の楽しみを切り詰めてしまうと、精神的なゆとりを失ってしまうでしょう。
★ポイント★
投資のためにローンを利用する際は、生活に必要なお金は確保した上で、毎月無理なく返済できる金額を借り入れることが大切です。
ローン条件を無視してリスクの高い投資商品に手を出す
ローンには、用途が決まっている「多目的ローン(目的ローン)」と用途が自由な「フリーローン」があります。いずれの場合でも、事業性資金への流用や、株式やFXなどの投機目的では融資は受けられません。
また、不動産投資に利用できるローンは「不動産投資ローン」や「アパートローン」などの名称で提供されていて、マイホーム購入の際に利用可能な「住宅ローン」とは明確に区別されています。住宅ローンは居住用の物件購入が目的のため低金利・各種優遇措置があり、投資目的で利用するのは違法です。
★注意★
決められたローン目的や融資条件などを無視して、「ハイリターンが得られる」などと周囲に言われて投資商品に手を出すことは大きなリスクを招く「悪い借金」ですから、絶対に手を出さないようにしましょう。
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